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肥薩線(その1)~明治時代の駅舎が残る嘉例川駅・大隅横川駅

肥薩線は熊本県・八代駅から鹿児島県・隼人駅迄の124.2kmを結ぶローカル線であるが、元々鹿児島本線の一部として明治42年(1909)に開通した。当時の日本は大国ロシアとの間で緊張が走っていおり、海沿いのルートだと敵からの艦砲射撃を受けた際に甚大な被害が出るとの理由で山岳ルートがとられた経緯があるが、大変な難工事だったとの事。

昭和2年(1927)に海沿いのルートができて、幹線としての役割は鹿児島本線に譲ったものの、熊本・福岡から宮崎への最短ルートとして特急・急行も走っていた。しかし、九州自動車道・宮崎自動車道の開通により乗客が減り、最後に残っていた急行「えびの」も平成12(2000)年に廃止された。

本来なら、特に乗客が少ない吉松・人吉間(現在一日5往復のみ)は路線自体が廃止となってもおかしくない。しかしながら美しい車窓風景、スイッチバック・ループ線、明治時代の駅舎・・・と、鉄道の魅力が凝縮された肥薩線は廃止となるにはあまりにも惜しいという事で、現在JR九州は肥薩線に観光列車(SL人吉号、いさぶろう・しんぺい号、はやとの風)を走らせ、鉄道旅行の魅力をアピールし集客に努めている。(肥薩線の紹介記事はこちらへ)

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今回、最初に訪れたのは嘉例川駅。鹿児島空港から4kmしか離れておらず、羽田6:20発、鹿児島8:10着後すぐタクシーを飛ばすと、8時半過ぎには到着できる。(いつもは会社で仕事を始めようとする時間、明治時代にできた駅舎にいる不思議・・・)

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(左)営業開始は明治36年 (右)朝のひっそりとしたホーム。この後観光客が数組、車で訪れ写真を撮り、そして去って行った
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(左)待合室の木のベンチも古いが、磨きこまれ大切に使われている
(右)肥薩線で有形文化財として登録されているのは、嘉例川駅と2つ先の大隅横川駅
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無人駅であるが、かつての駅事務室には駅名標等鉄道部品が展示されている。必見!
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(左)(右)駅事務室に保存されている金庫と通常閉塞機
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(左)嘉例川駅に到着したディーゼルカーに乗り込む 
(右)車内はこの通りガラガラ。嘉例川からの乗車は自分だけ、乗客は5名程だった。R0013327.jpg
嘉例川駅から2つ目の大隅横川駅に到着。明治38年に完成の登録有形文化財で嘉例川よりも一回り大きい。
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(左)昔懐かしいポストが駅舎にマッチ (右)建物財産標には明治36年1月の表示が
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(左)第二次大戦中の機銃掃射の跡。上に二つ穴があいているのがわかる (右)ホームは誰もいない。1両編成の普通列車で到着して次の列車が来るまで約1時間、静かな駅をゆっくりと駅を味わう事ができた
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(左)肥薩線が開通して2009年で100周年 (中)駅のスタンプ (右)タブレット交換に使用する渦巻型の通標受機
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待合室も昔のまま。駅事務室は嘉例川と同様いろいろなものが展示されていたが、残念ながら平日で閉まっていた。地元小学校の児童の作品等も展示されており、駅が地元の財産として大切に使われている事がわかる。
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(左)(右)大隅横川駅に到着した特急「はやとの風」で吉松駅に向かうR0013359.jpg R0013366.jpg
(左)(右)内部はレトロなデザインでチョコレート色の外装にマッチしている。


【ひとこと】
・嘉例川、大隅横川とも駅舎ファンには有名。特に嘉例川はテレビ・雑誌でもよく紹介されているので、一般の観光客も多く訪れる。
・観光列車である特急「はやとの風」は、それぞれの駅に5分程度停車するので、駅に降りることはできる。
しかし、大勢の乗客と一緒に慌ただしく写真を撮り、急かされて列車に乗り込むのは勿体ない。普通列車に乗り実際に下車し、次の列車を待つまでの静けさを味わうのが、正しい駅舎ファンの行動とされている(車で訪れ、車で去っていくのはJRに一円も落とさないし、路線の乗客数にもカウントされず、赤字ローカル線に全く貢献しないので論外)ので、興味がある方は是非下車してじっくり味わってほしいし、それだけの価値がある駅だと思う。
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Nam Tok

Author:Nam Tok
・鉄道と山を求め、自由気ままに歩き回りたい・・・最近はアジアの乗り鉄、撮り鉄を楽しんでいます。また山登りも、自分の体力・技術にあわせ学生時代から続けています。
・このブログに立ち寄って頂きありがとうございます。鉄道と山の魅力が少しでも伝われば幸いです。
・ちなみにNam Tokとはタイ語で「滝」の意味です。そしてタイ国鉄にはNam Tok線があるだけでなく、Nam Tok駅も存在します。更に、タイ料理で肉、ハーブ、炒った米粉を和えたサラダもNam Tok(大好物!)であり、名前に拝借した次第です。

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